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SAIKURU Vol.129 WEB版 「蔵であることを守りつつ、生まれ変わる」

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SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して毎月お届けしている
フリーペーパー「SAIKURU」

今回は2019年12月に発行した
vol.129号のWEB版です。

ぜひご一読くださいませ。

 

蔵であることを守りつつ、生まれ変わる。

 

CASE.129 広島県・東広島市
2019.7 完成  賀茂鶴酒造様

 

お酒の販売・試飲スペースの全景。写真手前が酒樽を利用したオリジナルのディスプレイ棚です。天井の梁が空間のアクセントです。

 

「賀茂鶴」の字が迫力満点。欠けていた「茂」の点は復元しました。

 

 

展示スペースの天井には空間の演出としてハネ木をディスプレイ。

 

 

賀茂鶴の歴史を 3つの軸で伝える

広島県・西条を代表する酒蔵「賀茂鶴酒造」(以下、賀茂鶴)。大吟醸づくりに率先して挑戦し、その先駆けとしてその名が世界に轟いています。2019年7月、そんな賀茂鶴の一号蔵が、展示室兼販売・試飲蔵として生まれ変わりました。広報課の太田さんは「元々、欧米からの観光客が多く、彼らに単純にお酒を売るだけでなく、今まで以上に受け入れられる体制を整えた上で、賀茂鶴の歴史に触れてほしいという思いがありました」と、そのきっかけを振り返ります。 明治前期に建造され、国の有形文化財にも指定される一号蔵を活用した新たな展示室兼販売・試飲蔵は、酒づくりの工程を紹介する展示室、お酒の販売スペース、試飲コーナーという3つの側面を備えています。蔵の再生において賀茂鶴が何よりも重要視したのが、あくまで酒蔵であること。「例えば見学者の要望を受けてミュージアムとしての色合いを強くしていくとします。そうやって手を加えた結果、蔵でなくなってしまうと、極端に言えばこの西条になくても良いということになってしまいます。蔵のテイストが薄れていくほどに、わざわざお客様がここに来る理由がなくなってしまうんです」という太田さん。このような考えから、蔵を改装するにあたっては元々の建物を可能な限り生かしました。 賀茂鶴の敷地は1万6000㎡あり、この蔵だけでも1300㎡を占めています。蔵の中央に設けられた入口から見て、向かって左側が展示スペース、右側が販売と試飲のスペースです。展示スペースにおいては、普段は関係者以外、見ることができない酒づくりの工程を説明パネルや酒樽などの実際の道具、設備を使って紹介。太田さんは「リアルに、そして、丁寧に、酒づくりが疑似体験できるような演出を心掛けました。展示ばかりだと一方的になってしまうので、お客様が能動的に酒づくりのワンシーンに触れられるようなアイデアを散りばめています」と自信を見せます。インバウンド客のために、パネルには5か国語で翻訳が再生されるQRコードを導入。「広島の酒米、そして地元・西条の水で醸すという賀茂鶴の酒づくりへの思いやこだわり、情熱など、これまで深く語れていなかった内に秘めていた部分を伝えたかったんです」。太田さんが語る賀茂鶴の思いを、この展示スペースでは開放的な造り、ゆっくりと見学できる動線によってお客様へと届けます。

 

 

 

展示スペースにある酒づくりにまつわる道具を紹介するコーナー。酒づくりがどのように行われているか、想像力が掻き立てられます。

 

写真手前は試飲用テーブル、その奥にバーカウンターを備えています。

 

 

 

酒と向き合う場を 明確に生み出す

販売・試飲スペースは中央に設けたお酒の販売棚が目を引きます。この棚には酒づくりに使われていた酒樽の板を活用。蔵の雰囲気にすっと溶け込むデザインになりました。レジカウンターの奥に設置された東京・水道橋にディスプレイされていた「賀茂鶴」のレタリングサイン、壁面に並べて飾られたうんすけ(酒を入れる陶器の壺)など、日本酒好きの心を踊らせる演出も見ものです。試飲コーナーは入口から見て一番奥に用意。太田さんは「以前は販売エリアとの区分がなく、ごちゃ混ぜの状態でした。今回の改修では試飲コーナーにゆとりをもたせ、バーカウンターも設けることでメリハリをつけました」と教えてくれました。ここで飲むお酒の格別な味こそ、この上ない西条土産となりそうです。

 

以前酒造りに使われていた道具を、ディスプレイの什器として
うまく活用されています。

 

思わずSNSで投稿したくなる工夫が満載です。

 

 

日本酒の味を決める製麹の工程を学べるコーナー。

 

 

 

明治前期に作られた建物とは思えないぐらい
きれいに生まれ変わった外観。

 

 

Owner's Voice

「この度のリニューアルの3年前、蔵自体の駆体を補強し、梁と柱については自社の社員で力を合わせて塗りました。できることは可能な限り、自分たちでやるように心掛けました。生まれ変わった後も蔵として愛情を注ぎたい。そんな思いがしっかり込められたと思っています」賀茂鶴酒造 広報課 太田様より

 

House Adviser

有名で、長い歴史がある酒蔵様の壱号蔵の工事ということで、昔ながらの建物を現在の材料で造る、昔、使用していた酒樽で展示用什器を造るなど、難しい内容がいくつもありました。その中でも、現場監督として、デザイナー、そして賀茂鶴酒造様の現場担当者と何度も打合せをかさねて、無事に工事を終えることができました。お客様、関係業者様共に心から感謝しております。

ハウスアドバイザー
工事部リノベーション工務
佐藤 大樹

 

今回取材させていただいた
賀茂鶴酒造様の写真はホームページの
実例ギャラリーでも紹介してます。
こちらをクリック

 


SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して毎月お届けしている
フリーペーパー「SAIKURU」

毎月、二丈・朝倉のモデルハウスや
各地の分譲住宅や本社ショールームにて
配布中です。

配布後、このホームページでも
WEB版として定期的に掲載していく
予定です。ぜひお楽しみに。
 

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